なつかしい場所

WEB上のアルバムを久々眺める。2003年に一ヶ月間行ってたMEXICO。
目的は美術学校で機織を学ぶことだった。素材や糸の太さで全く違った表情を見せる布は本当に面白い。近くでようく見てみる、離れて遠目で見てみる。触わってみる。美術品として飾られている豪奢なものより、人々の生活に入り込んで当たり前にようにあるものに惹かれた。日常の中で「使っては洗う」という行為が繰り返され徐々に使い手に馴染んで徐々にその人のモノになっていく過程は本当に美しいと思う。同じクラスのメキシコ女性が私の選んだ羊毛の色を見て言った。「日本人は淡い色が好きね、前にいた日本人もそうだったわ」彼女の織っている敷物は濃いピンクとチョコ茶、ターコイズの三色の組み合わせ。一瞬、派手さに怯むが彼らメキシカンの生活にはぴったり似合う。大胆なメキシカンカラーを横目に自作を少し地味だったかと思ったが日本に持ち帰り東京のマンションに敷いてみるとしっくりいった。太陽の光線の強弱や色によってその土地に似合う色があることを肌で実感した出来事だった。

学校での実習のほかにもカラダで学んだことは山ほどあった。多種多彩な人、文化、場所、食材、言葉に出会うことで受ける外的な刺激と反比例して自分の頭の中はとてもシンプルになっていく。想像していなかったわけではないが想像以上だった。
旅から戻りすぐに会いたかったのは親友Mだった。彼女にあんな話もしようこの写真も見せよう。彼女は会うなりなぜか大笑いし、開口一番言った。「錆びが取れたね!すっきりしてるよ!」
NECESITO VIAJAR!(旅をしなくっちゃ!)一番初めに覚えたスペイン語。いつまでも旅に出たいという精神の自由と健やかさがあったら本当にいいと思う。どんなに歳を取っても。決して遠い場所でなくてもいいから。