香りについて

匂いには記憶を呼び覚ます不思議なチカラがあります。人ごみの中で突然昔の男を思い出したりするのは、知らない人からふんわり香ってくる香水のせいだったりする、そんな経験、誰でもありますでしょ?
飲むとよく、女同士で「ね、ね、どの香りがダメ?」なんて言い合ったりします。この場合、ダメの意味は「嫌い」ではなく、むしろ「好き?」。「どの、香りがいろんな思いが一気に溢れすぎてせつない?」という意味。ちょっと年上のお姉さまならアラミス、インセンス(ジバンシー)、年下の友人達ならカルバンクラインとブルガリが圧倒的だったり。ただしブルガリだと必ずかぶってて「あ、でも、どっちのオトコだったけ」とか(笑)。時にはアクア・デ・パルマなんて渋いことをいう人もいて「あら、随分年上の男だったのねー」みたいな(笑)。私の場合はアリュール(シャネル)。たぶん、これで10分は泣けます。でもなぜだか、あまり日本では出くわさない。なんだかほっとするような、寂しいような。こういう話は、人によって本当に様々で面白い。香水の好みでその人のライフスタイルや好みがよくわかるから、お互いの恋愛遍歴を長々聞き合うより、よっぽど伝わったりする。各自イマジネーションを働かせつつのgirls talk
ところで私自身はオードトワレではなくてパルファム派。オードトワレは思い込みかもしれないけど、ケミカルな感じが鼻についてダメなのです。普段は仕事柄つけませんけど、プライベートでは時々楽しみます。信頼している香りの先生がいて、彼女のお店を時々訪ねます。とても美しい人で、香りにまつわるお話とともに私に合ったものをひとつひとつ大切に選んでくれます。ここの良さは、複数の香りを重ねて使う楽しみを教えてくれるところ。草花や動物のホルモン、バニラや果物、全て天然のものです。
重ねること自体、天然のパルファムだからこそできること、自分の体の匂いや気温や天気に微妙に変化するのがとても面白いのです。体のどの部分につけたらいいか、何と重ねたら相性が良いかなどなど、もっと知りたいと思ってしまいます。アンバー、パチュリ、時にはお酒のアブサンだったり。あるときはアフリカの惚れ薬に使われる植物、これは本当に効果てきめん。相手も自分も惚れやすくなってしまうのです、これをつけてる日は恋に落ちやすい(笑)。
香りって一つの自己暗示でもあるかもしれない、とても素敵なことだと思います