思わぬ足止め≪バスクへ…≫

一夜明けTGVバスクへ向かうべく、SNCF(フランス国鉄)モンパルナス駅へ。ズンと高い天蓋式の天上、列車の出発を知らせる”パタパタ式”の大きな掲示板、大きな荷物を持った家族連れや、スーツのビジネスマンの群れ。陳列した色とりどりの列車。ヨーロッパの大きい駅に共通したこの景色と活気のある空気にいつもワクワクする。
BILLETの表示に従ってチケット売り場へ。
私;「ボンジュール!えーと、サン・ジャン・ド・リュズまで一枚」
窓口のお兄さん;「ノン…。今日は天気が悪くてボルドーまでしか行かないんだよ。」
私;「ちょっと、あのさ、それって、強風とか?雪とか?」
お兄さん;「あ!それ、”強風”だよ(なぜか嬉しそう)、そう強風だ、雪じゃない。多分明日なら大丈夫、でも僕にもわからないな。」
そりゃそうだお天気のことはお兄さんにもわからないよね。
ちょっとニンマリしちゃった私、ボルドーと言えば、言うまでもなく高級ワインで知られた酒処、ってことは星がついちゃっているような美味しいレストランや地元の食通に愛されるブラッセリーがあるのは間違いなし。それもパリに比べて料金も良心的なはず。
神様が「Cよ、ボルドーへ行け」と言ってる証拠とばかりに、「じゃ、ボルドーまで行っちゃう!」とお兄さんに伝えると一人旅のアジアンヌを心配したらしく「着いたらちゃんとサン・ジャン行きはどうなっているか確認するんだよ。」とウインク。
もし出張とかだったら、日本社会の発想で怒っても仕方ない相手に「なにぃー(怒)」的なテンションになってしまっただろうけど、誰かと待ち合わせしているわけでもなし、日程にも余裕があるし。こんなハプニングも悠長に楽しめるのは幸せなことです。

        
     
気がつけばお腹ペコペコ、出発まで時間があったので一回外に出て朝ごはん。駅の近くの1軒のカフェ。朝早いのに仕事前のカフェを啜る男性でカウンターは鈴なり、ここに決めてクロックムッシューとサラダ、フリット。飲み物はコート・ドュ・ローヌをグラスで。ワインがすごく美味しくて幸せ。これ、全部完食!こんなに朝から食べてるの店中で私だけ、いいもん。10:10のTGV、パリから、ノンストップ、およそ3時間でボルドー着。

        

初めての土地、ボルドーはあいにくの雨。駅の近くはおよそムードのない普通の町。ホテルが何軒かあるけどとても興味が惹かれるほどではない。トラムの到着を待つ人々の列、地元の人がほとんどでそこに観光客が入り混じっている様子。雨の中、とりあえず、駅の隣の観光案内所へ急ぐが行くが、閉館。今日は日曜日だった!ってことは良いレストランもやってないであろうことに同時に気付いた。あーん、ツイテないのかな。とにかく雨をしのぐ為にPAULのカフェへ。キッシュドロレーヌを食べようとした私に「ボナペティ!」と笑顔で声をかけてくれた隣のテーブルの彼女。
        
トラムに乗って、Quinconces(カンコンス)まで行けば大きい観光案内所もあるし、ホテルや、レストラン、ワインの博物館もあることが彼女のおかげで判明。大学生で来月ロンドンへ行きベビーシッターのバイトを兼ねて語学学校へ留学すると言って一生懸命英語で話してくれました。お互いのポートレイトを撮り合って、最後はbisouをして別れました。名前は?と聞くと「ヘレン!」と英語式に名乗ってくれたHelene(エレーヌ)ちゃん、一人旅と知ると可哀想に思ったのか「サンテミリオンにお父さんがいて今から行くから一緒にいきませんか?」とまで言ってくれた優しい女の子。彼女に会えてとっても温かい気持ちになりました。