白鷺と桜

月のきれいな晩に、桜の木の枝で眠る白鷺。そんなものを見たのは初めてだったので本当に驚いた。
毎晩、ここへやってきて休息を取り、夜が明けるとまたどこかへ飛んでいくと話す店主。
川沿いにあるBAR、大きな窓からは桜並木がよく見える。看板はなく、ドアに花札の坊主が一枚張ってあるだけ。知らなきゃ怖くて開けられない。過去に何百回と通り過ぎたであろう道にあるのにその存在にまったく気がつかなかった。連れてきてくれた男友達は、「隠れ家っていう表現自体、今となってはまったくもって粋じゃない」という。
南部鉄の茶釜や鉄瓶が並び、店主自ら、お茶も点ててくださるらしい。
ここにあるもの全て、なんだか本当に「すべて、好き」と純粋に思ってしまった。
今まで経験したことがないことにトキメクと、数日経ったほうがむしろ鮮明になって日に日に心を占める面積が広くなるのものなのかな。
今年は、桜の盛りから散って葉桜になるまで、何回もここへ来ようと思います。